火曜日, 10月 25, 2011

人間を大切にする社会への扉をこじ開ける


ラベルライターに関する発明をしたブラザーの社員と元社員とが、社員発明の貢献による適正な対価の支払いを会社からうけるべきであるとして、地裁から高裁へ、そして最高裁で頑張ってきました。
東京高裁は東京地裁が命じた支払額の五割増しの支払いを命じましたが、この高裁判決がこのほど最高裁判所で確定するに至りました。
新聞報道によれば会社側は「決定内容は残念だが最高裁決定には従いたい」とコメント。
 この裁判、相談役を求められて戦略方面など支援しましたが、主力は当事務所の夏目武志弁護士と事務局の佐々木と松田の三名。得意めざす分野のひとつとして知財分野を選択して陶冶に努めていた夏目が、本人の酒井さん結城さんと文字通り三人四脚でここまで頑張り抜きました。
「大量生産基地」が海外移転を余儀なくするなか、国内ではその「開発基地」たる役目を担って雇用を確保する、これが我が国の活路のひとつであることは、今では、はっきりしてきています。
開発のひらめきやヒント、そして新たな工夫は、他でもない人間の考える力から生み出される。新興諸国に先行する開発は、先進国に相応しい〝より人間らしい生活〟であればこそ益々生まれる。
個人として尊重される「個人」どうしが対等に協力しあってこそ、真のチームワークの力が発揮されよう。
獅子をも飼い慣らす智恵、すなわち大脳をもつ本来の人間を大切にする社会への扉をこじ開ける裁判となりました。

何ごとも人組(ひとぐみ)から/京都『時代祭』をお手本に


秋の京都〝時代祭〟のことです。
午前中から平安神宮の境内のあちこちに刀や槍を手にした胴丸姿の足軽隊、本格的な鎧兜の武将、堂々の体躯の牛が曳く御所車、お公家さんやお姫様、たくさんの馬などなどが参集し始め、次第に活気が満ちはじめました。十時頃になると、順次、丸太町通を西に進んでスタート場所の京都御苑への移動が始まりました。
御苑に終結して待機するうち、正午となる。本番である。最先頭部に行列の名誉奉行の馬車二両が出る。一両目には京都の府・市各議会の議長さんが座乗され、次いで副知事さんや市長さんが座乗される二両目が続きます。
で、この馬車の御者は誰?どこかで見た姿かたちでは??
御苑の広々とした砂利道を行列は進みはじめる。烏丸通を南下して東に折れると、両側の特設桟敷の内外が見物の人々で埋まる御池通である。真ん中を馬蹄も軽やかに進む。姿勢を正して御者台からみる京都はことのほか爽やか。思わず空を仰ぐ。河原町通そして三条大橋をわたる頃には道幅も狭くなり沿道の人々と馬車上のやんごとなき方々とが互いに声を掛け合うと、御者までがニッコリとしてしまいました。ラストは、神宮通を次第に迫る正面の大鳥居を見て北上し平安神宮に帰り着いて、互いにお役目ご苦労様となりました。
さて、この時代祭の行列、例の鼓笛と共に進む維新の官軍に始まり、歴史を順に辿って藤原そして延暦時代にまで遡る一大絵巻である。各時代を象徴するそれぞれの行列は、これを京都の市民の皆さんが学区単位で組織をつくって編成。練習に練習を重ねて出場を受け持ちあっておられるというからすごいと思いました。時代考証に忠実な衣装・装具を再現する伝統技術を保存し成り立たせる、その資金創りも一大運動となるようです。
京都三大祭りの〆、秋の時代祭はこうして催される。
舞台裏の一端から参加させていただき、京都の真の強みはこの住民力であることに気付きました。わが郷土のまちおこしも、実は、市民の人おこしであるべきことを、そして何ごともそのベースが〝人組〟にあることを、お手本に触れて学ぶ秋の一日となりました。