Friday, July 30, 2010

活人法務帳(‘10-1)

 
濃霧に矢を放って的を射抜く
1億5千万円の債務を、2千300万円で解決し、会社の活路拓く! 

  
  リーダー企業とその外注先企業群とが、大規模な共同集配施設を計画。共に銀行融資をうけて用地の大半を取得したが、未だ虫食い状態の間にバブルが崩壊。程なくリーダー企業もまさかの倒産となったため、計画は頓挫。用地は処分となったが、たたき売りしかなく、膨大な銀行借入だけが残った。外注先企業群は、わがA社も含め、銀行との間で各社の負担割合と長期分割弁済を協定。以来、A社も月々多額の返済に任じてきた。
  さて、時は経ち、今回のリーマンショックである。時にA社の残債務はまだ1億5千万円をくだらず、四苦八苦の極に。
  だがここで、顧問の税理士先生が独り曰く、「天の利、我にあり」!
  そこで、顧問弁護士・加藤洪太郎の出動となり、同弁護士は所属事務所の若手・中山弦弁護士に呼びかけてチームをつくり行動を開始。
  先ず調査。実はこの間、銀行はA社に対する長期債権を、正体のわからぬ有限会社に譲渡していた。調べて判った。この有限会社、株主となった投資家たちの出資金でもって銀行からA社に対する「貸金債権」を買い受け、これを利殖の対象としたのである。事務はすべて関係の債権管理会社が請け負っている。規制緩和政策の鬼っ子である。
  よく見ると、くだんの有限会社の取締役が時々変更となっている。どうやら持ち株の譲渡が頻繁に行われているようである。
  「ハハあー、さては投資家たち、金融パニックで金づまりかも ? 」
「一括で○○円払うから、ここで現金回収を一気にしませんか。」と行動を起こそう。
  問題はこの○○円である。
  この有限会社、A社に対する長期債権をいくらで仕入れたのだろうか ? そしていくらで次の株主に転売しただろうか ? この間の世界と日本の経済・社会の変化と彼らの立場を想い測る。彼我の力関係はじめ考えられるあらゆる要素を前提にチームで研究・討論した。
  出した方針は「1千800万円用意するから決着を着けよう」と提案することであった。  
  中山弦弁護士が「弦」を引き絞って矢を射る。  
  しばらくして回答を得た。「2千300万円くれれば後は放棄する」。  
濃霧の中で目には見えない標的であったが、心眼で狙った一点に射た矢はズバリ!「当たり」となった。
  これで1億5千万円余の債務の圧迫からA社は解放された。爾後の経営計画からこの債務返済計画を外すことができたのである。活路を拓いたA社は生産を続け、雇用も継続して地域経済の一端を担い続けることができた。